月別アーカイブ: 2019年2月

Baby-Led Weaningを安全に実践するために!

たけのやま歯科院長の山田です。

私の主宰する勉強会・以心塾に昭和大学名誉教授で今の離乳の基礎を作ったレジェンド・向井美惠先生をお招きいたしました。
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先日ご紹介したBaby-Led Weaningの考え方とは反対の立場にいらっしゃる方なのですが、
とても広く深く丁寧にご講義をいただきたくさんの学びがありました!

Baby-Led Weaning(以下、BLW)は、お母さんも赤ちゃんも楽しく食べて元気に育って欲しいという願いから、今後も発信とサポートをしていきたいと思います。

しかし向井先生も懸念され、また実践される方や周りの方も心配されるのは「安全面」だと思います。
何事もリスクをゼロにすることは困難ですが、
今回はより安全に実践するためのポイントをお伝えしたいと思います!

まずは、体の発達を見ることが大切です。
ひとりでまっすぐお座りができれば
しっかり飲みこむことができます。
このお座りの見極めが難しいので、
当院では、
「腹ばいでおへそが地面から離れるくらいの姿勢」
ができるようになったら、とお伝えしています。
a早くてズリバイしそうかな〜、くらいの時期ですね。
ハイハイをしていれば大丈夫でしょう。

それから前回、お腹のすいて”いない”時、機嫌の良い時に行うことを書きましたが、
急にのけぞって上を向いたり、息を吸い込んだりすると危険です。

そして何よりも、
絶対に赤ちゃんから目を離さないこと!

従来の方法でも、BLWでも、食事のとき以外でも、
赤ちゃんは一瞬目を離したスキに危険なものを口に入れてしまいます。
BLWは赤ちゃん自身の力で楽しんで食べる手法ですが、
決してほったらかしにして良いわけではありません!
これが最も重要です!

また、窒息事故を起こしやすい食品は以下の通りです。
・小さくて固い食品(ナッツ類、生のニンジン、リンゴ等)
・小さな丸い食品(ブドウ、飴玉、白玉団子、ミニトマト、うずらの卵等)
・皮付きの食品(ソーセージ、チキン、サツマイモ等)
・圧縮可能な食品(パン、ポップコーン、唐揚げ等)
・滑りやすい食品(バナナ、アボカド、キノコ類、ゼリー等)
・粘着性のある食品(グラノーラ、お粥等)

ただ、BLWを実践しているとおよそ9ヶ月頃までは
オエーッと吐き出すことはしょっちゅうあるはずです。
これは窒息とは違います。
食べ物を詰め込みすぎたり、奥まで入れすぎたりすると嘔吐反射が起きます。
赤ちゃんはこれを繰り返しながら徐々に食べ方を学んでいきます。

BLWと従来の方法で窒息の頻度を比較した研究もあります。
意外なことに、BLWでも窒息の頻度は従来法と変わらない、という結果となっています。
さらにBLWを行った子どもたちは従来法と比べて、フィンガーフード(スティック状の野菜など)で窒息する頻度が少ないこともわかっています。
BLWで自分でつかんで食べることを学んでいるからなのかもしれませんね。

窒息の防止の他には、
日本の子どもたちは臍帯の早期結紮などの影響で鉄が欠乏しやすいそうですから、
鉄分の多い食品を意識的に取り入れることも良さそうです。
(ほうれん草、小松菜、ブロッコリー等)

BLWは、お母さんも赤ちゃんも楽しく食べて元気に育ってもらうためのもの。
万にひとつも事故などは起きてほしくないですから、
まだ指導が受けられる施設は少ないとは思いますが
可能であれば専門家に発達状態や注意点のアドバイスをもらってサポートをしてもらいましょう!

もちろん当院も、全力でサポートさせていただきます!!!

Baby-Led Weaning 赤ちゃん主導の離乳食

たけのやま歯科院長の山田です。

「子どもをむし歯にさせないBLOG」、更新をかなりサボっていてごめんなさい(汗)

今回はイギリスで学んできた離乳食の手法、Baby-Led Weaningのご紹介です!

Baby-Ledは「赤ちゃんが主導する」という意味で、Weaningは「離乳食」と同義ですから、
「赤ちゃん主導の離乳食」と翻訳しました。

イギリスで10年ほど前に出版された同名の本があるのですが、
お母さんが楽チンで、赤ちゃんも楽しんで食べてくれるということで大ブームになり、
20カ国語に翻訳されて広まっているそうです。
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残念ながら日本語版はまだ出版されていませんが、
今年中には出版される気配が・・・。

日本でも、昔は「ありあわせ離乳」という、Baby-Led Weaningと同様の手法が一般的でした。
1980年に出版された「育児の百科」という本には、
『ありあわせ離乳」の項目に
「日本の伝統的な離乳法は、このやり方であった。」
「赤ちゃんの気に入ったものを、あれこれとやってみることで、赤ちゃんの主体性を尊重できる。」
とあり、
「離乳の進行には、赤ちゃんが楽しいか楽しくないかがいちばん大事」としています。
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歯科の視点からは、口の機能が育つのに有利な可能性があって、
当院でもオススメをしています。

ちょっと驚くかもしれませんが、
おかゆのようなどろっとした形状のものは与えずに、
最初から固形のものでスタートさせ、
スプーンは使わないという考え方なのです。
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それを、手づかみで、こう!
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かわいいですよね(笑)

絶対に汚れるのですが、それは覚悟のうえで。
この方法の方が、将来的に「食事を楽しむ赤ちゃんが多い」ということが分かっています。

少なくとも、離乳の方法はひとつではない、ということ。
細かい事に思い悩むよりも、お母さんも赤ちゃんも楽しめた方がいいに決まっていますね!

イギリスで流行ってから研究もさかんに行われており、
そのうちのひとつの「BLISS in a nutshell」より6つの原則をご紹介します!

①スティック状の食べ物から始めよう!
ドロドロの形状でスプーンで与える必要はありません。
赤ちゃんにまかせ、手づかみで食べるのがBaby-Led Weaningです!

②家族の食事に赤ちゃんを加えよう!
家族みんなが食事をとっている場に赤ちゃんを同席させてあげてください。
赤ちゃんは家族が食べている様子を見て食べ方を学んでいきます。
ひとりで食べさせることのないように!

③色んな食材を用意しよう!
食材は3〜4種類くらい、見た目、形状、味が異なるものを用意してください。
ただし何をどれだけ食べるかは赤ちゃんの自由に!

④赤ちゃんを急かさない!
つい食べさせたくなったり、早く食べてほしくなったりしてしまいますが、
食べるペースや時間も赤ちゃんの自由に!

⑤塩や砂糖の加えられたもの、不健康と思われる食品は避けよう!

⑥何よりも安全に留意しよう!
後ろに反り返ったりすると窒息しやすいので危険!
機嫌の良いときにしましょう。
最初はお腹がすいて”いない”ときに開始するのもポイント。
小さくて固いものは避けた方がよいです。
そして絶対に赤ちゃんをひとりにしないこと!

栄養的には、9か月くらいまでは母乳やミルクが主体にはなりますので、
食べる練習として、「楽しく食べる」ことを中心に考えていきましょう!
最初はうまくいかなくても、あまり食べなくても、心配いりません。
赤ちゃん自身の育つ力、学ぶ力を信じて、見守ってあげてください!

今年は、「授乳・離乳の支援ガイド」の改定も行われる予定です。
現行のガイドは実際の現場に即していない点で批判も多いのですが、
私もそれに関する厚生労働省の会議を傍聴したり、意見を届けたりしています。

なによりも、お母さんも赤ちゃんも楽しんで食べてくれるように。

Baby-Led Weaningを含めて、当院では離乳食のサポートも行っておりますので、
何かあればお気軽にご相談ください!
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※赤ちゃんの安全面に配慮するために、可能な限り専門家に発達の状態を確認していただくようお願いいたします。
もちろん当院でもサポートいたします。
まず、絶対に、赤ちゃんから目を離さないように!