たけのやま歯科院長の山田です。
今回は番外編です。
患者さんや知人によく聞かれる、歯に関する疑問についてお答えしたいと思います。
Q.むし歯って遺伝するんですか?
A.ほとんどは後天的な要因です。
唾液の質や量などは遺伝します。
ですが、むし歯になりやすくなるかどうかの多くの要因は後天的です。
お口の中に住み着く菌は、多くはお母さん、ご家族からうつっていきます。
小さなお子さんのまわりの大人の方のお口の中がきれいであること、
甘いお菓子を3歳くらいまでは遠ざけることが大変重要です。
Q.食べてすぐ磨くと歯が削れると聞きました。
A.たいていの場合意識しなくてもよいです。
酸性の食品を食べた直後のみあり得ます。
そのことについて書かれている記事等をよく目にしますが、
目を引きやすい内容なため強調されがちですがさほど重要な情報ではありません。
やはりしっかりと磨いて汚れを落とすことを優先すべきだと考えます。
Q.おやつを食べてもすぐに歯磨きをすれば大丈夫ですよね?
A.いいえ、そういうわけではありません。
歯磨きで落としたいのは「食べカス」ではありません。
バイキンの固まりである「プラーク」です。
食後そのプラーク中のむし歯菌が酸を出し、歯を溶かします。
この「プラーク」を歯のすみずみまで確実に徹底的に除去できるのであれば
確かに大丈夫かもしれませんが、ほぼ不可能です。
もちろん磨かないよりは磨いた方がよいのですが、
磨けば大丈夫、と考えてしまうのは危険です。
Q.うがい薬や歯磨き粉に「むし歯を予防する」とか「歯周病に効く」という成分が入っているのですが?
A.「フッ素(フッ化物)」以外は証明されていません。
歯磨き粉の成分で明確にむし歯予防に効果があると示されているのは
フッ素(フッ化物)のみです。
他は、効きそうだな、という程度のものです。
試験管上でのデータがあるものも一部ありますが、
ヒトでその効果が示されたものは現状ないものと思われます。
歯周病に対してはっきりと証明された成分はひとつもありません。
消毒薬としてのクロルヘキシジンは効果が示されていますが、
歯磨き粉やうがい薬に配合されている濃度で効果があるかは不明です。
うがい薬は、プラークそのものに浸透することはできないので、
基本的には効果はあまりありません。
やはり物理的に「磨いて落とす」が基本になります。
通常の歯磨きに何か加えていただくのであれば、
やはり「フロス」が重要です。
Q.おやつの量に気をつければよいのですよね?
A.量よりも回数(頻度)です。
むし歯になりやすい状況は、「ダラダラ食べ」です。
口の中に食べものが入っている間とその後しばらくの間にむし歯菌は酸を出します。
その時間が長くなると、歯が溶けている時間が長くなります。
なので、一度に食べる量ではなく、頻度がカギです。
また、寝ている間は唾液の量が減りますので、
むし歯菌の出す酸に対する抵抗力が弱くなります。
寝る直前に食事を摂ることも危険な習慣です。
ただし、これらは習慣化していると危ないよ、という話です。
たまーに、週末だけ、とかであれば、大きな問題にはならないので、
神経質になり過ぎないようにとらえて下さいね。
Q.電動ブラシの方がきれいになりますか?
A.あまり変わりません。
電動ブラシについて客観的に評価した論文を見ると、
多くは手磨きとの差はないとされています。
手が不自由な方は、電動ブラシの方がよく磨けるでしょう。
手磨きできれいに磨ける方は、電動でもうまく磨けます。
電動ブラシの方がクセが出やすいかもしれません。
でもより楽チンな点は魅力。
朝の時間のないときは電動で、夜時間のあるときは手磨きで、
というように使い分けるといいかもしれませんね。
ちなみに、あんまり安物はおすすめしません。
しっかりと評価されているものは、相場として1万円前後の価格帯の製品です。
Q.炭酸水でもむし歯になりますか?
A.歯を溶かしてしまう可能性はあります。
炭酸水はpHが低く、酸性の飲み物です。
例えばコーラ等の砂糖の入っている飲料は、
①歯を溶かし、
②酸性の環境を作ってむし歯菌が住みやすくし、
③むし歯菌に砂糖というエサをやる、
ということで非常に危険ですが、
砂糖の入っていない炭酸水も、①、②は同様ですので、
良くはないかもしれません。
これも頻度の問題ですので、絶対飲むな、というものではありません。
他でしっかり気をつければよいとも言えます。
Q.歯並びは遺伝しますか?
A.はい、遺伝します。
骨格がある程度遺伝しますので、その影響はあります。
遺伝以外にも、お口の周りの筋肉の使い方などの環境要因も関係することが分かってきています。
とりあえず、思いつく限りで書いてみました。
また思いついたら書き溜めて掲載したいと思います。
その2、その3と続けていきますので、お楽しみに!